IPOとは?現状と今後の動向について
IPOとは?現状と今後の動向についての記事をご紹介します。
新型コロナウイルスの問題に続き、ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安の進行もあって、2022年前半は国内IPO市場が減速していました。しかし、その後の展開は変化し、2023年も半分以上が過ぎました。現在、国内IPO市場はどのような状況にあるのでしょうか?
IPO(新規株式公開)とは
IPO(Initial Public Offering)は、未上場の株式を初めて一般の株式市場に公開することを指し、日本では一般的に「新規株式公開」とも呼ばれます。特に、将来の成長が期待されるベンチャー企業やスタートアップ企業がこの方法を好むことが多いです。IPOには新しい株式を発行する条件が伴いますが、株式市場を通じて不特定多数の株主を募集する点において、「上場」と「IPO」という言葉はほぼ同じ意味で使われます。要するに、IPOは企業が初めて公に株式を提供し、株式市場で取引可能にする過程を指しています。
2022年以降のIPO事情
2022年前半のIPO市場は、前年同期比で30%の減少を記録し、2008年のリーマン・ショック以来の最大の低迷を経験しました。この低迷の背後には、新型コロナウイルスの影響に加え、ウクライナ問題が追い打ちをかけ、各国の金融政策が市場心理に影響を及ぼし、投資家の活動が停滞したことが挙げられます。ただし、2022年通期においては、前年に比べてIPO件数は減少しましたが、新型コロナ問題以前の水準に回復しました。特に、東証グロース市場でのIPOが市場全体の80%近くを占め、経常損益が赤字の企業も30%以上に上るなど、新興企業の成長性に対する投資が多かったと言えます。業種別にみると、サービス業が圧倒的に多く、一方で金融業、製造業、卸売業などは減少傾向にあります。特に、IT関連企業のIPOが市場をけん引し、各種プラットフォーム提供事業者の割合も増加しています。2023年の前半は金融システムの不安などにより、株価の下落が懸念されましたが、国内の株式相場は5月にかけて大幅に上昇しました。後半にはアメリカの金利政策転換が予測され、投資家の活動が活発化すると見込まれています。したがって、国内IPO市場も2022年と同様の件数に達する可能性が高いと言えます。
2023年後半のIPO展望
2022年4月に、東京証券取引所(東証)は市場区分を再編し、「プライム」「スタンダード」「グロース」という3つの市場を導入しました。さらに、2023年3月には「IPO等に関する見直しの概要」を実施し、上場審査の柔軟性向上やIPOプロセスの柔軟性強化など、ベンチャー企業をサポートする取り組みを強化しています。東証関係者によれば、将来的には投資家の信頼感が高まり、新規大型IPOが計画されているため、市場は徐々に活発化すると期待されています。特に、グロース市場では、海外投資家の参入が増加する可能性があります。東証はベンチャー企業の成長を支援するために基盤整備を進めており、将来的には宇宙産業、素材産業、ヘルスケア産業など、新たな分野の企業がIPOを通じて上場することが予測されています。東証はベンチャー企業の発展を促進し、市場の多様性と成長を支える役割を果たしています。
まとめ
国内IPO市場は、2021年から2022年にかけて大幅に減少し、一時的にはリーマン・ショック以来の景気後退の懸念が広がりました。しかし、その後2023年上半期までには、新型コロナウイルス問題以前の水準を回復しました。国内のIPO市場はまだ規模が海外に比べて小さいものの、ベンチャー企業の上場が徐々に活性化しています。これに注目する国内外の投資家が増えており、新興ベンチャー企業によるIPOは、新しい日本経済の動向を示す重要な指標とされています。国内のベンチャー企業が成長し、市場に新たな活気をもたらすことが期待されています。