育児・介護休業法と企業のメリット
育児・介護休業法の概要と目的
育児・介護休業法は、労働者に育児や介護を行う上で支援を提供し、仕事と家庭を両立させることを目的とした法律です。ワークライフバランスの実現のため、労働時間の短縮や給付金の支給などのサポートが定められています。この法律では、以下の制度や措置が規定されています。
企業のメリット1: ワークライフバランスの実現
- 育児のための休業制度:1歳未満の子どもを持つ労働者の育児支援を目的とした制度で、子どもの1歳の前日まで取得することができます。
-介護のための休業制度:2週間以上の「常時介護」が必要な家族を介護する場合に休業できる制度です。
- 子供の看護休暇制度:小学校就学前の子どもを持つ労働者が、子どもの怪我や病気にかかった際の世話や健康診断、予防接種の付き添いなどをする場合に休暇を取得できる制度です。
- 介護休暇制度:高齢、疾病、けがなどにより介護が必要な状況にある家族を支えるため、労働者が休暇を取得できる仕組みです。
- 育児・介護支援策 - 育児・介護労働者への支援措置 これらの制度や措置は、企業が就業規則などに取り入れることが義務付けられています。
また、産後休業を申請していない労働者は、出産後8週間以内に子供の養育のために休暇を取得できますが、最大で4週間(28日)を2回に分割して利用することが可能です。
さらに、育児休業の取得率の公表は、従業員が1,001人以上の大企業に義務付けられることになりました。
・企業イメージの向上 企業のイメージを向上させるためには、従業員の満足度を高めることが重要です。
育児休業や介護休業を取得しやすい環境を整備することで、従業員の働きやすさや仕事への満足度が向上し、企業の評判や信頼性が高まります。
企業のメリット2: 従業員のモチベーション向上と離職防止
・従業員のモチベーション向上 育児休業や介護休業を取得できる制度を整備することで、従業員のモチベーションが向上します。
従業員は家庭や介護のために休暇を取ることができ、家庭と仕事の両立がしやすくなります。
これにより、従業員の働きへの意欲が高まり、生産性の向上が期待できます。
・従業員の離職防止 育児休業や介護休業を取得できる制度を整備することにより、従業員の離職率を低下させることができます。従業員が家庭や介護に充実した時間を割くことができるため、働き方の柔軟性が高まり、仕事とのバランスを取りやすくなります。これにより、従業員の離職意欲が減少し、企業が人材を定着させることができます。
企業のメリット3: チームワーク強化と業務の属人化解消
・チームワークが高まり生産性向上が期待できる 育児休業や介護休業を取得することにより、従業員間のチームワークが高まります。
従業員はお互いをサポートし合うことで、仕事の円滑な進行や問題解決が行われます。
・業務の属人化解消 育児休業や介護休業の制度整備により、業務の属人化を解消することができます。
従業員が休暇を取ることで、他の従業員がその業務を代行する必要が生じます。
これにより、業務の共有化や手順の明確化が進み、業務の属人化を防止することができます。
①環境整備 改正法によれば、育児休業を取得することが容易になるよう、以下のいずれかの項目の実施が義務付けられています。
1. 育児休業に関するトレーニングの提供
2. 育児休業についての問い合わせ窓口の設置
3. 従業員の育休取得事例の収集と共有
4. 従業員に対する育児休業制度とその取得促進に関する方針の普及活動
介護休業に関しては、環境整備は義務ではありませんが、社内ネットワーク上で介護休業制度を閲覧できるようにしておけば、従業員は担当者に問い合わせたり情報を探したりする手間を省くことができます。
②休業取得前 育児休業制度では、従業員やその配偶者が妊娠・出産を申し出た際に、以下の項目について個別に周知し、取得の希望を確認するための措置が義務付けられています。
1. 育児休業・産後パパ育休に関する制度の説明 2. 育児休業・産後パパ育休の申請先 3. 育児休業給付に関する事項 4. 育児休業・産後パパ育休期間中に従業員が負担すべき社会保険料の取り扱い 育児休業や介護休業においては、従業員からの報告や申請に必要な情報を適切に収集することが重要です。
③休業取得後 育児休業や介護休業の取得が決まったら、育児休業給付金や介護休業給付金の手続きなど、必要な手続きを漏れなく行う必要があります。