育児・介護休業法の最新動向
男性の育休取得促進
育児・介護休業法は、日本の少子高齢化が進んでいる現状において、働く労働者が子育てや介護をしながら仕事と家庭を両立できるように支援するための法律です。最新の法改正により、男性の育休取得に関する支援策も導入されました。
しかし、男性の育児休業取得率はまだ低いと言われています。2019年度の取得率は7.48%であり、2020年度では12.65%に増加しました。男性が育児休業を取得しづらい原因としては、企業側の制度整備や社内の理解不足が挙げられます。このような現状を改善し、「男女を問わず育児ができる社会」を実現するために、法改正によって「男性の育休取得支援」が導入されることになりました。
企業における男性育休取得支援策
具体的には、2022年4月1日から、企業は以下の施策のいずれかまたは複数を講じる必要があります。
育休に関するトレーニングの提供
育休に関する相談のための支援体制の整備(相談窓口の設立)
従業員の育休取得実績の収集と共有
従業員への育休制度と育休取得促進方針の普及
これにより、男女ともに育休取得が円滑に行われる環境が整備されることが期待されています。
また、女性社員の妊娠や男性社員の妻の妊娠・出産に際しても、育休制度に関する説明と取得の意向確認が必要となりました。
育休・産後パパ育休制度の拡充
具体的には、以下の項目の周知が必要です。
1. 育児休業と産後パパ育休制度の説明
2. 育児休業および産後パパ育休の申請手順
3. 育児休業給付に関する情報提供
4. 育休期間中に従業員が負担すべき社会保険料に関する取り決め
内閣府が行った「男性の子育て目的の休暇取得に関する調査研究」では、企業が育児休業取得の促進に取り組んでいるか、上司の理解があるかどうかが、男性の育休取得率に大きく影響していることが分かりました。
今回の法改正によって、企業が積極的に取り組み、社内の理解を深めることが重要です。
(2)2022年4月1日から、有期雇用労働者が育児・介護休業を取得するための要件が緩和されます。
これにより、より多くの有期雇用労働者が育児・介護休業を取得しやすくなります。
(3)2022年10月1日から、「産後パパ育休」という新しい制度が導入されます。
これは、男性が出生時に育児休業を取得するための制度であり、子供が生まれてから8週間以内に最大4週間の育児休業を取得することができます。
この制度は、通常の育児休業制度とは別に設けられたものであり、子供が1歳(最長2歳)に達するまでの期間に取得することができます。
(4)2022年10月1日から、新たな育児休業制度では最大2回まで分割して取得することができるようになります。
これにより、育児と仕事を両立させるために、柔軟な取得方法を選ぶことができます。
(5)2023年4月1日以降、従業員数が1,001人以上の大企業は、1年に1回、育児休業の取得率を公表する義務が課されます。
企業の社会的責任と透明性
これにより、大企業においては育児休業の取得状況が透明化され、社会的な責任を果たすことが求められます。これらの変更により、企業は以下の3点を考慮すべきです。まず、就業規則などの改定が必要な場合は早めに検討しましょう。
次に、男女を問わず、育児休暇を取得しやすい環境を整える必要があります。
最後に、産後パパ育休での育児休業給付金の手続き方法を確認しておくことが重要です。男性が育児休業を取得するかどうかは、各家庭の判断に委ねられますが、育児休業の取得には周囲の理解が不可欠です。
特に、雇用環境の整備や情報の周知・理解を促進することは、企業にとって義務であり、怠ると労働局から指導勧告を受ける可能性があります。
最悪の場合、企業の名前が公表されることもあります。
これにより、企業のブランド力が低下し、採用難などの悪影響が生じる可能性もあります。
将来的には、男女を問わず育児休業を当たり前とする社会になることを予想して、就業規則の改定や手続きのシステム化など環境整備に着手することが重要です。
しっかりと取り組むことで、企業は社会の期待に応えることができます。