給与明細の発行と保管に関する重要情報
給与明細の発行と法的要件
給与明細を発行した後の「保管」は、実は法律上の義務ではありません。
ただし、企業は所得税法によって給与明細の発行が義務付けられていますが、保管に関しては法的な義務は存在しません。
つまり、給与明細のデータを発行直後に破棄しても法律違反にはなりません。
給与明細の保管の重要性
ただし、給与明細は給与支払額、出勤日数、有給休暇の残日数、手当、控除額、納税状況などの情報が含まれており、これらは賃金台帳や出勤簿などの記録と重複しています。
そのため、給与明細は事実上「法定三帳簿」と同様の書類と見なされることもあります。
したがって、給与明細には法的な保管義務がなくても、企業のコンプライアンスには、法定三帳簿と同じく取り扱うことが適切です。なお、法定三帳簿には労働者名簿、賃金台帳、出勤簿が含まれており、労働基準法によって各事業所はこれらを備えて保管する義務があります。
給与明細の保管方法
●給与明細の再発行依頼に迅速に対応することで、従業員の安心感を与え、企業への信頼を維持・向上させることができます。
●給与明細の保管は、賃金支払の証拠として利用できます。
給与明細の保管により、「従業員に給与を支払った」という証明を確保することができます。
万一、従業員から未払い賃金の請求があった場合でも、証拠として利用できるのです。
●給与明細を紙で保管する場合、経年劣化による「変色」「文字の脱色」「文字の消え方」などを防ぐ対策が必要です。
風通しの良い、日光の当たらない場所で保管するなど、適切な管理方法を考える必要があります。
また、紛失防止にも入念かつ注意深く対策を講じなければなりません。
●給与明細をデータで保管する場合、給与明細の作成データを保管する方法では、給与明細が賃金台帳と同等の重要書類であると解釈すれば、以下の賃金台帳のデータ保管要件を最低限満たすことが安心です。
給与明細の電子化とクラウドサービス
◎労務関係の書類をパソコンで作成・保存する場合の要件は次のとおりです。
・法律で義務付けられた要件を満たし、それを画面上で表示・印刷することができること。
・労働基準監督官が検査を行う際などに、すぐに必要な情報を明示し、提出できるシステムであること。
・誤ってデータが消去されないこと。
・一定期間保存できること。
データで保管する場合でも、必要な情報をすぐに取り出せるように、紙と同様の保管場所や保管ルールを設定しておく必要があります。
自社のルールとしてマニュアルにまとめ、外付けハードディスクや社内サーバ、USBなどでデータを保管することも可能です。
ただし、給与明細の発行から保管までを効率的に管理するためには、給与明細発行サービスを利用することもおすすめです。
給与明細は、全ての従業員に交付する義務があるため、正社員やパート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、すべての明細を保管することが望ましいです。
ただし、従業員数の多い企業や総務部門の人手不足が深刻な企業では、管理業務や従業員からの対応に時間や手間を取られると、他の業務に支障が出る可能性もあります。
給与明細を電子化するクラウドサービスを利用すれば、発行業務の負担を軽減し、データの紛失や破損のリスクも低減できます。給与明細の保管場所や管理にお悩みの場合は、ぜひこのようなサービスの利用を検討してみてください。